戦後の物資不足、新円切り替えで大混乱の最中の昭和21年(1946年)3月、小さな子供を抱えて途方に暮れていた大森シズエが、疎開先の音江(北海道深川市音江町)から戻り、札幌市中央区北4条西14丁目(当時)の住まいの片隅にて細々と行商を始めたのがはじまりです。
「お茶屋さんを始めようと思ったきっかけはね、お義母さんがとってもお茶好きな人で、よくお茶屋さんにお使いを頼まれていたから。きっと他にも、おいしいお茶を飲みたいっていう人は、たくさんいるんだろうなと思ったの。」
当初は、既に営業していた他のお茶屋さんから茶葉を少量分けていただき、手で袋詰めをしての販売でした。のちに静岡などの茶産地から茶問屋の営業の方が来て下さるようになり、好みの茶葉を産地から直接仕入れるようになりました。
当時、衣類の卸専門問屋街として栄えていた桑園の地から、住宅の多い西野へ。昭和40年(1968年)、西野バスターミナル前の札幌市西区西野2条2丁目177番地(当時)に移転し、昭和49年(1974年)8月、株式会社大森園として法人設立、代表取締役に大森シズエが就任し、釧路丸三鶴屋様(当時)での催事販売を皮切りに、道内の丸井今井百貨店様(当時)等で販路を拡げるきっかけをいただきました。
平成5年(1993年)に代表取締役に就任した大森克己は、昭和50年代の早い時期からお茶詰め専用機を導入。のちに合組機、真空パック・窒素充填機や、より優れた資材等の導入(お茶専用特殊パッケージ製造会社様等とのお取引開始)により、デリケートな茶葉を約1年新鮮な状態で保てるよう特殊包装、より安心してお客様においしいお茶をお届けできるようになりました。現在お取引いただいておりますイトーヨーカドー様の道内店舗、西友様の道内店舗、北見パラボ様やラルズ宮の沢店様にて、お茶やギフトのお取り扱いをいただき始めたのも、これらを導入した時期です。
平成11年(1999年)、西野3条2丁目に本店を移転後は、札幌市内での催事や、テナント店の新規出店に力を入れて参りましたが、平成21年(2009年)5月、創業者大森シズエが93歳で永眠したのちは、時代の流れや変化にあわせて、これまで長らく出店しておりました函館市内のテナント店を閉店、札幌市中央区宮の森支店を閉店、西野本店と統合し、接客対面販売により特化していく方針といたしました。
新たな活路と事業拡大を目指して、平成26年(2014年)7月より、札幌市中央区の本店にて営業を開始致すことになりました。引き続き日本茶専門店として、国内産選りすぐりの茶葉の販売業務を主に、お茶の教室のほか、和の各種文化教室の運営、お茶を中心とした生活様式の提案など、新しい分野の業務にも積極的に取り組んで参ります。まだまだ力不足ではございますが、今後とも変わらぬご愛顧、ご指導ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。